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1人あたり欠勤による1000万円の損失をどう防ぐ?全国約300店舗の健康経営を牽引する、デジタル施策と組織浸透の軌跡

カッパ・クリエイト株式会社(かっぱ寿司)

店舗運営を基盤とする企業様において、従業員の健康は喫緊の経営課題です。本記事では、全国に約300店舗を展開するカッパ・クリエイト様(以下カッパ・クリエイト)が、いかにして長年の課題であった「アブセンティーイズム(健康問題による欠勤)」を克服し、全社的な健康経営を推進しているのか、その具体的な戦略と組織浸透の軌跡をご紹介します。

  • ニュースリリースはこちらよりご覧ください。
  • この記事は2025/9/11に行ったセミナーより作成したものです。(読みやすさを優先して、一部の表現を整えています。)当日の動画視聴を希望される方は、こちらよりご覧ください。

飲食・食品 / 従業員数:10,000名以上(うち正社員数 500名以上)

 

この記事のまとめ

目的  
  • 多店舗展開企業として、従業員一人ひとりが「長く、健康に」働ける環境を整備すること
  • 健康問題による事業損失(アブセンティーイズム)を最小限に抑え、持続的な経営基盤を確立すること
     
課題  
  • 多店舗展開とシフト制勤務を前提とした、従業員が必要なタイミングで健診・二次検診を受診できる環境の構築
  • 健康診断結果のデジタル集約と、高リスク者へのタイムリーなフォローアップ体制の整備
     
解決策  
  • 健診結果のデジタル集約・一元管理と、時間的制約が少ないオンライン診療の環境(スマートワンヘルス)を導入。
  • 全社員会議やアンケートを通じて社員と問題意識を共有し、一体的に施策を推進。
     
効果  
  • 健康課題を早期に可視化・把握し、対策を講じる基盤を整備。全社員の95%が施策に賛同し、約1ヶ月という短期間でシステムのインストール・運用準備が完了。
  • 健康についてオープンに語れる風土が生まれ、社員のモチベーションや安心感の向上に貢献。

 

お話を伺った方

  • 取締役  経営戦略本部長   福谷 史郎 氏
  • 第1営業部長 富永 守 氏

(聞き手) 株式会社インテグリティ・ヘルスケア 園田愛

目次

  • 経営課題としての従業員の健康と経済損失
  • デジタル活用で課題解決の糸口を探る
  • 現場を巻き込んだ施策定着の戦略
  • 今後の展望:データで健康行動を報いる企業へ

  • 経営課題としての従業員の健康と経済損失

    人材が経営の要。「ピープルビジネス」の基盤を守るための、切実な問題意識

    約300店舗を全国展開し、約1万4,000名(社員平均年齢39.4歳)の従業員を抱えるカッパ・クリエイト。同社は、従業員の健康管理を単なる福利厚生ではなく、喫緊の経営課題として捉え、健康支援体制の構築に乗り出しました。

    「当社の事業は、店舗展開しているピープルビジネスであり、人がいる前提のビジネスです」と語るのは、取締役 経営戦略本部長の福谷氏です。

    福谷氏(取締役 経営戦略本部長)
    残念ながら、アブセンティーイズムによって欠勤・休職、中には退職される方もいるのが事実です。その損失は、従業員の方やそのご家族の人生に及びますし、企業としては1人あたり年間1000万円単位のキャッシュを生み出すチャンスを失う、非常に大きな経済活動の損失だと捉えていました。この損失をなくしていく活動が、最優先の経営課題として認識されていました。

     

    多店舗・シフト勤務の構造的な実情と、社員自身が「自分の健康を気に掛ける」ことの難しさ

    さらに現場で働く従業員の方々には、多店舗展開・シフト勤務という構造的な問題から、健康リスクが高まりやすい実情がありました。

    富永氏(第1営業部長): 私自身も現場を経験していましたが、仕事が忙しかったりすると、休みの日に休むことはあっても、なかなか「自分の健康を気に掛ける」ことはできていませんでした。また、体調に異変を感じても「忙しい」「病院の待ち時間がもったいない」といった理由で、受診を後回しにしてしまう社員が多いことも課題でした。


    デジタル活用で課題解決の糸口を探る

    マネジメント側の課題:人力管理では「命に関わる対応」が間に合わない

    アブセンティーイズムの背景にある要因を分析すると、健康診断結果に異常値が出ていたにもかかわらず、対応が遅れていたという、マネジメント側の課題も浮かび上がりました。衛生管理者や産業医を選任し、衛生委員会を開くなどの法定対応は行っていましたが、全国に散らばる店舗の従業員の状況をタイムリーに把握し、さらに個別に管理することは、人的リソースの不足もあり、非常に困難な状況だったといいます。

    福谷氏: アブセンティーイズムがあった方々を見ると、やはり健康診断結果に異常値が出ていました。なぜそれが出ているのに今まで気づけていなかったのか、対策してあげられなかったのか。ここに大きな課題と反省を感じていましたが、従来の人力での集計と二次検診勧奨では、速やかな対応が間に合わない状況でした。

     

    スマートワンヘルスが提供する二つの解決

    この構造的な問題を解決するために、同社が導入を選択したのが、スマートワンヘルスでした。施策として、以下の二つの課題に同時にアプローチしています。

    1. マネジメント課題の解消(健診データのデジタル集約):健診結果をアプリで一元管理し、高リスク者を速やかに抽出できる体制を構築。人為的な遅れをなくし、早期対応を可能にする。
    2. 従業員課題の解消(オンライン診療の提供):多店舗・多様な勤務体系の社員に対し、場所や時間の制約なく受診できる環境を提供する。

     

    福谷氏は、特にオンライン診療の導入が、長年の課題解決に「手が届く」感覚をもたらしたと語ります。

    福谷氏:スマートワンヘルスについては、健康診断結果をその場でデータ化できる点に加えて、病院が近くにない、あるいは忙しくて行く時間がもったいないと感じる従業員に対し、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視したオンライン診療が提供できるという点が、社員に対して我々がやりたかったことや、課題として持っていることの解決に繋がると感じ、導入させていただきました。


    現場を巻き込んだ施策定着の戦略

    「一方的な施策」にしない。経営層から現場まで問題意識を共有するプロセス

    新しい仕組みの導入において、人事・労務担当者が最も懸念するのが「利用率と浸透スピード」です。同社では、この課題を乗り越えるために、非常に戦略的なアプローチを取りました。

    富永氏:社員数も多いため、(スマートワンヘルス)アプリを導入するとなったときに、それがどれぐらいのスピード感で、果たして使いきれるのかという不安は正直ありましたし、オンライン診療を受けたことがない社員たちですので、実際の説明を聞くまでは不安はあったと思います。  

    そこで重要になったのは、会社がなぜこれを行うのかという目的を社員全員と共有することでした。まず役員や営業部長、産業医にアカウントを発行して実用性を検証したうえで、その後、全社員を対象に健康状態の把握と情報共有について賛同を得るためのアンケートを実施。驚くべき結果が出たのです。

     

    95%の社員が賛同!経営層と現場の一体感が生んだスピード導入

    福谷氏: みんながそういうふうに考えてくれてたんだ、と。自分たちが健康で働きたい、健康でいたいと共有してくれるのはすごく嬉しかったですし、やはりやるべきだと確信しました。社員の自発的な健康意識を基盤に、施策を「一方的な指示」ではなく、「共に進めるプロジェクト」として位置づけることができました。

    この確かな手応えを受け、全体会議での告知やオンライン説明会を実施。また、アプリのインストールという最初のハードルに対しても、マニュアルの準備や、人事チームによる未登録者への丁寧なフォロー体制を敷くことで、スムーズに進行しました。さらに推進チームが登録状況を週次で確認し、きめ細やかなサポートを行うことで、全社員へのインストールを約1ヶ月という短期間で実現されています。

    富永氏: 会社が従業員の健康について考えてくれているということは、社員にとってのやりがいや、モチベーションにつながっていくと思います。会社が自分の健康に投資してくれている、というメッセージは、エンゲージメントの向上に直結しています。

     


    今後の展望:データで健康行動を報いる企業へ

    社員のエンゲージメント向上と健康を評価する新たな仕組みづくりを目指して

    健康支援体制の構築を終えたカッパ・クリエイトは、今後、この仕組みと蓄積されるデータをどのように活用していくのでしょうか。

    福谷氏 (スマートワンヘルスの導入により、健診結果や受診状況といった従業員個々の健康に関する情報を)データ化できるようになったので、例えば、ずっと健康な状態を維持できている人であったり、異常値があったけれど改善させた人が、評価されるとかインセンティブがあるといったようなことを取り入れていければと考えています。具体的には、健康をサポートする福利厚生の提供であったりのような、健康になっていこうとする行動を、企業と社員が一緒になって考えていく環境づくりを目指したいです。

     

    また、このような取り組みは、組織風土にも良い変化をもたらしているそうです。

    福谷氏: 健康診断の結果を気にするようになったり、チームのメンバーが「実は本当は病院に通わなきゃいけない」と打ち明けてくれて、今度からちゃんと通いますと言ってくれたり。そういうことが当たり前のように言えるようになってきたのは、すごく会社として風土が良くなってきたなと感じています。

    富永氏: 私たちのような飲食店では、こういった健康の課題はどこの会社でもあると思っています。そのため、オンラインで診療を受けられることは従業員の安心に繋がりますし、また、会社が健康を考えてくれているという事実は、社員にとってのやりがいやモチベーションの向上にも繋がると考えます。まだ取り入れられていない企業や検討中の企業の方には、ぜひ一度、この仕組みの導入を考えてみていただきたいですね。

     

    カッパ・クリエイトの取り組みは、デジタルツールを導入するだけでなく、組織の課題意識の共有きめ細やかな施策推進によって、従業員エンゲージメントと経営の安定化を両立できることを示す、貴重な成功事例と言えるでしょう。

     

    カッパ・クリエイト株式会社

    • 事業内容:飲食業(かっぱ寿司など)
    • 店舗数:およそ約300店舗
    • 従業員数:およそ1万4,300名